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「ひみつジャナイ基地」設計者インタビュー

2020.06.26

道後・宝厳寺前にでき上がった「ひみつジャナイ基地」。

 

2019年10月14日(月・祝)に設計コンペの最終審査が開催され、

そこで最優秀賞を受賞し、採用された松本樹さんの提案をもとに、

地元・愛媛の設計、施工チームが力を合わせて実施設計・建設が行われました。

※最終審査の様子はコチラ!

「ひみつジャナイ基地」設計コンペ 最終審査レポート

 

昨年10月に提案が決定してから、地元の方々と協議を重ねて使われ方などの条件を整理し、
構造や法律、施工方法などに検討を加えて実施設計がまとめられていきました。
2020年の1月半ばより建築に着手。

 

工期はおよそ4カ月と、大変タイトでしたが、工事は地元愛媛の若手職人集団「伊予匠ノ会」の協力もあり、無事完成へ至りました。

 

※建築過程については、すすむ棟梁の現場日誌が詳しいです。リンクはコチラ!

「ひみつジャナイ基地」 すすむ棟梁の現場日誌(1) 基礎工事編

「ひみつジャナイ基地」 すすむ棟梁の現場日誌(2) 上棟編

「ひみつジャナイ基地」 すすむ棟梁の現場日誌(3) 屋根工事編

「ひみつジャナイ基地」 すすむ棟梁の現場日誌(4) 屋根工事編

「ひみつジャナイ基地」 すすむ棟梁の現場日誌(5) 造作工事編

「ひみつジャナイ基地」すすむ棟梁の現場日誌(6)工事完了編

 

今回は、完成された建物を見た、設計者の松本樹さんにお話を伺いました。

 

―実際にコンペで提案された内容とでき上がった建物で、変更点はありますか?

松本さん

提案させていただいた時のものよりも、建物の大きさが小さくなりました。

そして倉庫やトイレなど運営上必要な設備が加えられたこと。

また、介助が必要な方などが乗り降りできる1台分の駐車スペースを確保しました。

 

専門的なことでいえば構造の形式が変わり、シンプルな形になりました。

それも予算、利用・運営者の使い勝手、施工の効率化などを考慮した結果です。

 

また、見た目的には、屋根の材質を変更しました。

元々、神社仏閣建築や道後温泉本館などで使われている銅板の屋根を提案していましたが、アスファルトシングルという屋根材に変わりました。

軒先部分のみ、一部銅板の部分を残していただいています。

 

―改めて、この基地の建築上の特徴、そしてこだわった部分について教えてください。

松本さん

デザイン上の最大の特徴は、神社仏閣のような優美な曲面を描く屋根です。

それは、宝厳寺の門前に位置し、山裾の緑豊かな環境に馴染むような形であり、さらに建物内に身を置いた時でも、波打つ軒先から周囲の風景が緩やかに切り取られ、豊かな既存環境を感じられるようなものにしたかったからです。

 

 

そして、傾斜地でありながら半円を描くような前面道路に面した敷地と一体になっていること。

ずっとこの地に残る建築物ですから、単に奇をてらうように独特な形態をつくりあげるのではなく、地域の特性から導かれる、この場所だからこその新しい形態を目指しました。

 

―存在感のある大黒柱も、とても印象的です。

松本さん

最終審査後から具体的な設計に入りましたが、大黒柱の構造形式がうまくいきました。

実はこの大黒柱、建物の中心にないんですよね。

大黒柱から放射状に伸びた先の柱の高さを、異なる高さとすることで屋根が曲面を描いています。

 

 

ちなみに、直径30センチの大黒柱は愛媛県内子産のヒノキ。

柱や内・外壁などもヒノキ。

木材の多くに愛媛県産材を使用しています。

 

―実際に出来上がった建物を見て、いかがですか。

松本さん

描いていた線が形となって建物となって、でき上がっていることに感激しました。

下から見ても、上から見ても、コレしかない!という仕上がりです。

敷地の面白さを生かしきれたと思います。

 

―今後、実際に運用が始まりますが、どのように使われてほしいと思いますか。

松本さん

出入り自由な開かれた空間として、建物の中も段々になった階段ベンチのスペースも活用され、、賑わいが地域に溢れ出すような場所になったらいいなと思います。

上人坂に人が訪れるきっかけとなり、その活気がこの場所にとどまらず広がっていくようなイメージです。

 

―改めて、道後の方やこの場所を訪れる方へメッセージをお願いします。

松本さん

今回、コンペサイトを見て、「ひみつジャナイ基地をつくる。」プロジェクトに応募したのですが、

若者向けの実施コンペ(実際に建物ができる)は大変珍しく、

このような機会をいただけたことに感謝をしています。

 

松山という土地は僕にとって縁もゆかりもないところでしたが、

このようなきっかけで、とても大切な「帰ってきたい場所」となりました。

 

古さと新しさを兼ね備えた道後に、また帰ってくることを楽しみにしています。

 

また、今回のことで建物を作るというのは、環境を作ることでもあると実感しました。

この場所がどんどん使われていく様子を見ることが楽しみです。

 

Photography: Shuhei Miyahata [Setouchi Editorial Institute]