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山中カメラ 踊りプログラム日記

山口賢治さん、美智子さんご夫婦2

2019.10.31

本プロジェクトは、日比野克彦×道後温泉 道後アート2019・2020 「ひみつジャナイ基地プロジェクト」の一環で、現代音頭作曲家の山中カメラが中心となり、障がい者や老若男女、外国人等様々な人が出会い、個人と個人のコミュニケーションを重ねながらそれぞれの身体表現を探る。
様々な人を繋ぐインターフェイスの制作、もしくは踊りに特化した共通言語、身体感覚の拡張を探り、多様な人たちが響き合える手法と場を模索し、ともに創り上げる。
最終的には、誰もが一堂に道後に集まり、踊りを楽しめる場としくみを作ることを目標としたプロジェクトです。

 


 

10月31日、前回の大山さんご夫婦同様、手話通訳の森川さんにご紹介いただいた山口賢治さん、美智子さんご夫婦にお話をお聞きしてきました。

 

お二人共とても明るく、耳が聞こえなくなった幼少時代、小学校から高校まで過ごした聾学校での日々、就職、結婚、子育ての事などとても事細かにお話していただき、私自身お二人の人生を追体験したような気持ちになりました。

 

前回の大山さん同様、当時の聾学校は手話をすることが禁じられており、先生さえも決して手話をせず、相手の口の動きを目で読んだり、喉を触ったり、口の形を真似て発声の練習をする「発語」という授業が大半を占めていたといいます。
しかし、生徒同士で先生に隠れて身振り手振りをして意思疎通をしたり、上級生から先生に見つからないよう布団の中など、内緒で手話を教わって、小学校3〜4年生頃にはお二人共手話をすっかりマスターし、授業中も先生が黒板に向いているときに生徒同士でこっそり手話をしたり、寄宿舎で消灯時間を過ぎても夜遅くまで月明かりの中、手話で会話を楽しんだとお話してくださいました。
とても美しい映画のようなお話だなあと感じました。

 

また賢治さんも美智子さんも、少し前まで趣味で大型のバイクに乗って長距離のツーリングを楽しんでおられたというお話をしてくださいました。
耳が不自由なのに大型のバイクに乗られるという事も驚きだったのですが、バックミラーやカーブミラー、周囲の車の状況、対向車のドライバーの顔の表情まで気を配り、安全は常に「目」で確認しているとのことでした。
「耳が不自由な分、目がとても良いのです」と賢治さんが自信たっぷりにおっしゃられた言葉が印象的でした。
美智子さんは趣味でフラダンスをされているのですが、音の振動を体で感じることもあるけど、主に目で見て先生の振りを覚え、周りのダンサーの動きを確認し踊りを踊っているとのことでした。
これは当たり前のことですが、聞こえる人は音楽を耳で認識して躍りますが、聾の方は音楽を目で捉えているのだなあと改めて感じました。
「目で聞く音楽、耳で見るダンス」
このようなキーワードでも今後アプローチしていきたいと思います。

 

 

沢山のお話の中で特に印象に残ったことは、「普段の生活の中でどのようなことが辛いですか?困りますか?」という質問をしたときでした。
お二人共すぐに答えることが出来ず「何があったかな〜」というような感じだったのがとてもとても素晴らしいなと感動しました。
お二人とも聾の障がいをものともせず、お子さんを3人も育て上げ、バイクやダンスや海外旅行など明るく前向きにおもいっきり人生を楽しんでおられて、なんだか私は自分が恥ずかしい気持ちになると同時に元気をいただきました。

 

山口賢治さん、美智子さん長時間ありがとうございました。

 

引き続き、聾の方へのインタビューを継続していきます。
今までのインタビューで改めて感じたこと、考えたことなども記事にして行く予定です。

 

(手話通訳:森川恵美子さん)