follow_me
山中カメラ 踊りプログラム日記

岡田恒美(つねよし)さん、石川良子(りょうこ)さん

2019.11.04

本プロジェクトは、日比野克彦×道後温泉 道後アート2019・2020 「ひみつジャナイ基地プロジェクト」の一環で、現代音頭作曲家の山中カメラが中心となり、障がい者や老若男女、外国人等様々な人が出会い、個人と個人のコミュニケーションを重ねながらそれぞれの身体表現を探る。
様々な人を繋ぐインターフェイスの制作、もしくは踊りに特化した共通言語、身体感覚の拡張を探り、多様な人たちが響き合える手法と場を模索し、ともに創り上げる。
最終的には、誰もが一堂に道後に集まり、踊りを楽しめる場としくみを作ることを目標としたプロジェクトです。

 


 

11月4日、前回、前々回同様、手話通訳の森川さんよりご紹介頂いた岡田恒美(つねよし)さんと、石川良子(りょうこ)さんお二人にお話を伺いました。

 

 

お二人ともとても明るく、終始笑顔で子供時代から現在まで、沢山のお話を聞かせていただきました。

 

岡田さんは幼少期に高熱を出して、熱を下げるために使った「ストレプトマイシン」の副作用で耳が不自由になり、
(※やはり色々な方にお話を聞いていくと、この「ストレプトマイシン」が当時とても強い薬で、命を助けるために仕方なく使い、副作用が出てしまったというケースがとても多いことを知りました。)
補聴器をつければある程度の大きさであれば「音」として認識は出来るものの、
細かい言葉や音程は判らないとのことでした。

 

石川さんは生まれつき聞こえず、現在は左耳のみ岡田さんと同じく大きいのみ、細かいことは判らないが「音」として認識が出来る程度であるということです。

 

岡田さんは宇和聾学校、石川さんは松山聾学校でそれぞれ高校まで学ばれました。
今までの大山さんご夫婦や山口さんご夫婦同様、当時聾学校では手話が禁止されており、少しでも「手話」や「手まね」をすると先生からかなり厳しく叱られ、お二人とも水が入ったバケツを持ち廊下に立たされる罰を何度も受けたそうです。
特に岡田さんの通っていた宇和聾学校は特に手話を厳しく禁止していたため、岡田さんが「手話」というものを正式に知ったのは聾学校を卒業された後だったということを聞いて大変驚きました。

そして聾学校では「口話(こうわ)教育」といって、発音をすることと、相手の口や喉の動きを読み取る訓練をひたすら叩き込まれたそうです。
岡田さん石川さんも、今までお話をお聞きした方々同様に、この「口話」の授業が本当に辛かった、嫌だったといいます。
これ程までに辛い訓練を受けて役に立っていることありますか?とお聞きしたら「発音をして相手にある程度伝える事は出来る様になったのは良いことかもしれないが、社会に出たら全く何の役にも立たなかった」とお二人がおっしゃられたのが印象的でした。

 

また、驚いたのがお二人共日常的に音楽を楽しんでおられるということ。
岡田さんはウクレレを弾いたり、CDを聞いたりされており、石川さんは宝塚のファンで劇場に行ったり、カラオケも楽しまれているということでした。
お二人共、歌の歌詞や音程は判らなくても、耳に音が伝わってきて体に響くような感じがして楽しいとおっしゃっていました。

 

そして、お二人共ある周波数の音は感じることが出来るということでしたので、
前回から行っている「聴覚に障がいのある方のそれぞれ聞こえる周波数を記録していき、その周波数を使って音楽を作れば聴覚に障がいのある方が踊れるダンスミュージックが出来るのではないか」という仮説のもと、20Hz〜21000Hzのサイン派を生成出来るパソコンソフトを使い、お二人の感じる周波数を記録させてもらいました。
しかし、この試みは今回でやめにしようかなと思いました。
というのも、ある周波数を発信しているときに、石川さんが「嫌な感じがする」とおっしゃったのです。
石川さんは音楽を日常的に楽しんでおり、細かい音は聞き取れなくても、その音楽が持つ楽しさや、豊かさなどを少なからず感じ取っていると思いました。
なので、音楽を周波数どうこうで考えるのは改め、聞こえる聞こえないに限らず、良い音楽を作ることが第一だと思いました。
良い音楽は、耳には聞こえなくても少なからず空気を、物体を振動させ、その人の体には何かしら情報として届くものだとお二人のお話を聞いて改めて思いました。

 

さらに、私は皆さんが「社会に出たら全く何の役にも立たなかった」とおっしゃっている「口話」のようなシステムを作ろうとしているのではないかという疑問も出てきました。
聴覚に障がいのある方とのコミュニケーションには既に「手話」という完璧なツールが存在しています。
またこの「手話」という言語は相手の目を見ながらでは無いと伝わりません。しかし、このお互いが目を合わせるという行為そのものがとても重要なものであると思えてきました。
盆踊りに参加してほしいのであれば、その人に会いに行き、目と目を合わせて説明をし、お願いをし、地道にその環を広げていく。私自身も手話を習得する。
出来るだけシンプルに、当たり前のことをしながら、今後も役に立つ仕組みを考えていこうと思いました。

 

岡田さん、石川さん貴重なお話をありがとうございました。
大変勉強になりました。

 

(手話通訳:森川恵美子さん)